貯金が目減りしていく不安から、失業手当を受け取りながら短時間のアルバイトを探す方は少なくありません。ハローワークでも働くこと自体を止められるわけではなく、申告の説明だけを受けて終わることがあります。実際には、働いた時間と受け取った賃金の組み合わせで、その日の手当が満額になるか、減るか、支給されないかが分かれます。分岐点になるのは週20時間と1日4時間、そして令和8年8月1日に改定されたばかりの控除額1,429円です。厚生労働省とハローワークの一次情報から、判断の基準と申告の手順を整理しました。
失業保険中のアルバイトは週20時間未満まで|2026年版の判断基準
兵庫労働局のハローワーク西神が受給者向けに公開しているコラム「基本手当受給中のパート、アルバイトについて」には、「失業給付受給中にパート、アルバイトをする場合は、その雇用契約の内容が原則週20時間以上の労働となる場合は、就職の扱いとなります」と明記されています。週20時間以上の雇用契約を結んだ時点で失業給付の受給はできなくなり、代わりに「就職の届出」を行う流れになります。届出は就職日の前日に、受給資格者証・採用証明書・失業認定申告書の3点を給付窓口へ持参して行います。
見落とされやすいのは、週20時間未満なら無条件に受給できるわけではない点です。同じコラムは、週20時間未満のアルバイトをする場合でも「並行して他に週20時間以上の労働をするための意思、能力があれば、受給は可能となります」と条件を付けています。裏返せば、並行して仕事探しをしない場合や、週20時間未満の短時間労働しか希望しない場合、アルバイトを理由に一定の求職活動をしていない場合は、労働の意思と能力が認められず受給できないという説明です。
失業手当は、すぐに働ける状態で仕事を探している人への給付です。アルバイトのシフトが優先になり、求人への応募や職業相談が止まってしまうと、労働時間が20時間未満でも受給の前提そのものが崩れます。週20時間という数字だけを見て働き方を決めないでください。
1日4時間が分かれ目|不支給・減額・全額支給の早見表
週20時間未満で働く場合、その日の手当の扱いは労働時間で分かれます。
| 働き方 | 失業手当の扱い |
|---|---|
| 週20時間以上の雇用契約 | 就職扱いとなり、基本手当の受給は終了します |
| 1日4時間以上働いた日 | その日は不支給になります(賃金額を問いません) |
| 1日4時間未満働いた日 | 賃金額に応じて減額される場合があります |
不支給になった日の手当が消えてしまうわけではありません。ハローワーク西神のコラムによると、認定の際に不支給となった日がある場合、受給期間内であればその日数は繰り越しになります。もっとも、繰り越しは支給終了予定日が後ろにずれることを意味します。同コラムも、かえって失業期間が長くなり、次の就職にとって不利になる場合があると注意を促しています。
減額されない収入の計算方法(令和8年8月改定・控除額1,429円)
1日4時間未満で働いた日の減額は、稼いだ額をそのまま手当から引く仕組みではありません。厚生労働省の報道発表資料「雇用保険の基本手当日額の変更」によると、判定は次の3区分です。
- 基本手当+「収入」が賃金日額の80%以下 … 全額支給
- 基本手当+「収入」が賃金日額の80%を超える … 超えた額の分だけ減額
- 「収入」が賃金日額の80%以上 … 不支給
ここでいう「収入」は、収入の1日分に相当する額から控除額を引いた額です。この控除額が、令和8年8月1日以後に1,391円から1,429円へ引き上げられました。
同じ資料には計算例も載っています。賃金日額7,000円・基本手当日額5,201円の方(60歳未満)が、28日間の認定対象期間中に2日間内職して6,000円を得たケースです。
- 1日あたりの減額分=〔(6,000円÷2-1,429円)+5,201円〕-7,000円×80%=1,172円
- 認定期間28日分の支給額=5,201円×(28日-2日)+(5,201円-1,172円)×2日=143,284円
この定義から逆算すると、減額されない1日あたりの収入の目安は「賃金日額×80%-基本手当日額+1,429円」になります。上の例に当てはめると、5,600円-5,201円+1,429円で1,828円です。時給1,200円のアルバイトなら1日1.5時間ほどで到達する水準で、思っているより低いところに線が引かれています。
控除額は毎年8月1日に改定されます。令和7年8月からの1年間は1,391円、令和6年8月からは1,354円でした。解説記事の多くは改定前の数字のままなので、計算するときは控除額がいつの年度のものかを必ず確かめてください。自分の賃金日額と基本手当日額は、雇用保険受給資格者証の第1面14欄・19欄に記載されています。
認定日の申告手続きと必要書類
働いた実績は、名称にかかわらず失業認定申告書に記入して申告します。1時間だけの単発でも、知人の手伝いでも対象になります。
減額がいつ反映されるかは、あまり知られていません。ハローワーク西神のコラムは、減額計算を行うのは賃金支払い日直後の認定日であり、働いたタイミングで減額しているのではないと説明しています。月末締め翌月払いのアルバイトなら、働いた月ではなく賃金が振り込まれた後の認定日で手当が減る流れです。給料が入る月と手当が減る月がずれるため、生活費の見通しを立てるときは月単位の帳尻に注意が必要です。
認定日には、労働時間を確認するタイムカードと、賃金を確認する給与明細を求められます。タイムカードがない働き方の場合、ハローワークが用意する就労・内職証明書の様式を使える場合もあります。書類がそろわないと認定が持ち越しになるため、シフトと給料日は早めに窓口へ伝えておくと手続きが滑らかに進みます。
受給資格決定後の7日間(待期期間)は扱いが異なります。待期は失業の状態を確定させるための期間にあたるため、この間に働くと基本手当の支給開始が後ろ倒しになる可能性があります。待期中や給付制限中に働く予定がある場合は、シフトを確定させる前に管轄のハローワークへ相談してください。
申告しないまま働けば不正受給になります。虚偽の申告は返還や納付命令の対象となり、その後の受給にも影響します。働いた事実を隠すより、正しく申告して減額を受け入れる方が、結果として失うものは小さくなります。
よくある質問
Q. 単発の日雇いアルバイトも申告が必要ですか?
必要です。労働時間や金額の多少にかかわらず、失業の認定に係る期間中に働いた日はすべて失業認定申告書に記入します。1日だけ、数時間だけという働き方でも例外はありません。無給で知人の手伝いをした場合も申告の対象になります。
Q. 週20時間を超えて働いたら失業保険はどうなりますか?
雇用契約の内容が原則週20時間以上の労働となる場合、就職扱いとなり基本手当の受給はできなくなります。就職日の前日に受給資格者証・採用証明書・失業認定申告書を給付窓口へ持参し、就職の届出を行います。パートやアルバイトでも条件がそろえば再就職手当や就業促進定着手当の対象になる場合があるため、届出を省かないでください。
Q. 1日4時間以上働いた日の手当は消えてしまいますか?
その日は不支給になりますが、受給期間内であれば日数は繰り越されます。受け取れる総額が減るわけではなく、支給が終わる予定日が後ろにずれる形です。基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間で、この期間を過ぎた分は受け取れなくなるため、繰り越しが増えるほど取りこぼしのリスクは高まります。
Q. 減額されない収入の上限はいくらですか?
賃金日額×80%-基本手当日額+1,429円が目安になります。賃金日額も基本手当日額も人によって違うので、受給資格者証に記載された自分の数字を当てはめて計算してください。控除額1,429円は令和8年8月1日からの額です。実際の判定はハローワークが行うため、境界に近い働き方をするときは事前に窓口で確認しましょう。
Q. 待期期間中にアルバイトをしても問題ありませんか?
待期期間は失業の状態を確定させるための7日間で、この間に働くと基本手当の支給開始が遅れる可能性があります。予定がある場合は、必ず事前に管轄のハローワークへ相談してください。自己判断でシフトを入れると、待期の起算がやり直しになることもあります。
Q. 自己都合退職の給付制限期間中もアルバイトはできますか?
給付制限中も失業の認定は続くため、働いた日の申告義務は同じように発生します。週20時間以上の契約であれば、給付制限中でも就職扱いです。給付制限の長さや解除の条件は離職日によって変わるので、自分の受給資格者証とハローワークインターネットサービスの基本手当の案内で確認しておきましょう。
アルバイトを始める前にハローワークで確認する3つのこと
シフトを決める前に窓口で押さえておきたいのは3点です。1つ目は自分の賃金日額と基本手当日額(受給資格者証の第1面14欄・19欄)、2つ目は予定しているシフトが週20時間・1日4時間のどちら側に入るか、3つ目は賃金の支払日と認定日の並びです。この3つがわかれば、いつ・いくら減るのかを働き始める前に見積もれます。
- 週20時間以上の雇用契約は就職扱い。受給は終了し、就職日の前日までに就職の届出が必要
- 週20時間未満でも、並行して週20時間以上働く意思・能力と求職活動がなければ受給の対象外
- 1日4時間以上働いた日は不支給(受給期間内なら繰り越し)、4時間未満は賃金に応じて減額
- 減額の判定は、控除額1,429円(令和8年8月1日〜)を引いた収入と基本手当の合計が賃金日額の80%を超えるかどうか
- 次の一歩: 受給資格者証で賃金日額と基本手当日額を確認し、シフトを決める前に給付窓口へ相談する
同じ時間数でも、雇用契約の内容や求職活動の状況によって結論は変わります。判断はハローワークが個別に行うため、迷った時点で窓口に確認するのがいちばん確実な進め方です。
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