「退職したいけど、お金が不安で踏み切れない」——そう感じている方は少なくありません。退職後にもらえるお金や負担を減らせる制度は、失業手当だけではなく複数あります。この記事では全体像を早見表で整理し、詳しい条件や金額は個別記事へ案内します。
退職後にもらえるお金・軽くなる負担の早見表
「誰が対象か」「いくらぐらいか」「どこで手続きするか」をまとめました。
| 制度 | 対象 | 目安 | 手続き先 |
|---|---|---|---|
| 失業手当 | 被保険者期間が通算12ヶ月以上(倒産・解雇等は6ヶ月以上) | 賃金日額の50〜80%を90〜360日分 | ハローワーク |
| 傷病手当金 | 加入期間1年以上・退職時に受給中/受給可能 | 標準報酬月額÷30×2/3を1年6ヶ月まで | 加入健康保険 |
| 再就職手当 | 基本手当を残し早期再就職した人 | 要件次第で一時金(要確認) | ハローワーク |
| 職業訓練受講給付金 | 雇用保険の受給資格がなく収入・資産要件を満たす人 | 月10万円 | ハローワーク |
| 国民年金の免除・猶予 | 厚生年金の資格を失った人 | 本人の前年所得をゼロとみなし審査 | 市区町村窓口 |
| 健康保険の選択 | 会社の健康保険を脱退する全員 | 任意継続・国保・扶養の3択 | 協会けんぽ/市区町村 |
失業手当は中心的な制度ですが、傷病手当金とは同時に受け取れません。体調不良で退職する場合は、どちらを先に使うべきか順番を間違えないことが重要です。
失業手当(基本手当)|退職後の生活を支える中心の制度
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」によると、受け取るには離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上必要です。倒産・解雇など特定受給資格者や特定理由離職者は、離職の日以前1年間に通算6ヶ月以上で条件が緩和されます。
金額は賃金日額×給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)で、日数は離職理由・年齢・被保険者期間に応じて90日〜最長360日、受給できる期間は原則離職日の翌日から1年間です。
自己都合退職では、原則7日間の待期に加えて給付制限がかかります。詳しい長さやいつから受け取れるかは、記事末尾の個別記事で解説しています。
傷病手当金・再就職手当・職業訓練の給付金
傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けない状態が続く人向けの制度です。全国健康保険協会「傷病手当金|給付と手続き」によると、連続3日を含み4日以上休業した場合が対象で(最初の3日は待期)、支給額は標準報酬月額÷30×2/3、支給期間は通算1年6ヶ月です。退職時に加入期間が継続1年以上あり受給中・受給可能な状態なら、退職後も継続受給できます。受けている間は「働ける状態」ではないため、失業手当とは同時に受け取れません。
再就職手当は、基本手当の支給日数を一定以上残して早期に再就職が決まったときの一時金です。具体的な支給率・条件は個別の受給状況によって変わるため、ハローワークで確認してください。
職業訓練受講給付金は、雇用保険の受給資格がない人向けの求職者支援制度です。厚生労働省「求職者支援制度のご案内」によると、職業訓練受講手当は月10万円で、本人収入月8万円以下・世帯収入月30万円以下・世帯の金融資産300万円以下などの要件を満たし、訓練実施日の8割以上に出席することが条件です。
傷病手当金と失業手当は「働けない状態」か「働ける状態」かで対象が分かれます。回復して求職活動ができるようになった時点で、失業手当の手続きに切り替える流れです。
国民年金の免除と健康保険の選択
日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」によると、厚生年金の資格を失った場合、退職日の翌日から14日以内に市区町村窓口で国民年金第1号被保険者への切り替えが必要です。収入が減った場合は、保険料の免除・猶予審査で本人の前年所得をゼロとみなす特例があります。免除は審査次第のため、離職票等を持って年金窓口に相談する形になります。
健康保険は、①任意継続、②国民健康保険、③家族の扶養、の3択です。任意継続は資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内の申請が必要で、加入期間は最長2年、保険料は全額自己負担になります。どれが合うかは、記事末尾の手続きチェックリストで比較しています。
任意継続(20日以内)と国民年金(14日以内)は、どちらも退職日の翌日が起点です。後回しにすると期限切れで選択肢が狭まるため、退職日が決まったらすぐスケジュールを組みましょう。
よくある質問
Q. 失業手当と傷病手当金はどちらを先にもらうべきですか?
体調が悪く働けない状態であれば傷病手当金が対象です。失業手当は「就労の意思と能力がある」ことが前提のため、働けない間は受け取れません。回復して求職活動ができるようになってから、失業手当の手続きに進みます。いずれも自分で申請が必要です。
Q. 国民年金の免除は誰でも受けられますか?
前年所得をゼロとみなす特例が使えるのは本人の所得のみで、世帯主や配偶者の所得は通常どおり審査対象です。免除・猶予は市区町村の審査結果次第で、必ず受けられるとは限りません。
Q. 職業訓練受講給付金と失業手当は同時にもらえますか?
職業訓練受講給付金は雇用保険の受給資格がない人向けの制度です。失業手当(基本手当)を受給できる人は対象外で、収入・資産要件と雇用保険の加入状況で該当が決まります。
Q. 再就職手当はいくらもらえますか?
支給の有無や金額は基本手当の残日数や再就職のタイミングで変わります。正確な金額はハローワークで自分の受給状況をもとに確認してください。
Q. お金の手続きで一番最初にやることは何ですか?
まず退職日を確定させ、離職票と健康保険資格喪失証明書を会社から受け取ることです。この2つがないと各手続きが進められません。
退職前にやっておく3つの準備
- 「体調は働ける状態か」を確認し、傷病手当金と失業手当のどちらのルートに進むか見通しを立てる
- 離職票・健康保険資格喪失証明書など、共通して必要な書類を会社に依頼するタイミングを決めておく
- 国民年金(14日以内)と健康保険の任意継続(20日以内)は退職日翌日起点の期限があるため、退職日決定と同時にスケジュールを組む
- 職業訓練受講給付金や再就職手当など、自分が対象になりうる制度をハローワークで一度まとめて相談する
次の一歩として、まずは自分の退職理由(自己都合か会社都合か)を整理し、失業手当がいつから・いくらもらえるかを確認しましょう。
