「失業手当っていくらもらえるんだろう」——退職を考え始めたとき、多くの方が最初に気になるのがこの金額です。生活費の見通しが立たないと、退職の決断も先延ばしになりがちです。この記事では、基本手当(失業手当)の計算式、月収別の目安、年齢別の上限額・下限額、所定給付日数の早見表を、公的機関の情報にもとづいて整理します。
基本手当日額の計算式|賃金日額×給付率
失業手当(基本手当)の1日あたりの金額は、次の式で決まります。
賃金日額(離職前6か月の賃金合計÷180)× 給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)=基本手当日額
賃金日額とは、離職前6か月間に支払われた賃金の合計を180で割った金額です。給付率は賃金日額が低いほど高く(最大80%)、賃金日額が高いほど低くなる(59歳以下は最低50%、60〜64歳は最低45%)仕組みになっています。つまり、離職前の収入が低かった人ほど、手取りに近い割合を受け取れる設計です。
ハローワークインターネットサービスによると、賃金日額と給付率の関係は年齢区分によって次のように分かれます。
- 29歳以下・30〜44歳・45〜59歳:賃金日額5,480円未満は給付率80%、5,480円〜13,490円は80%〜50%の間で段階的に下がり、13,490円超は50%(ただし年齢区分ごとの上限額まで)
- 60〜64歳:賃金日額5,480円未満は給付率80%、5,480円〜12,120円は80%〜45%の間で段階的に下がり、12,120円超は45%(ただし上限額7,830円まで)
月収別シミュレーション|自分はいくらもらえるかの目安
上記の計算式を使い、離職前の月収(賞与を除く月給)を目安に、29歳以下・30〜44歳・45〜59歳向けの基本手当日額を試算すると、次のようになります。
| 離職前の月収目安 | 賃金日額目安 | 給付率目安 | 基本手当日額目安 | 30日あたりの目安 |
|---|---|---|---|---|
| 約20万円 | 約6,667円 | 約76% | 約5,037円 | 約15.1万円 |
| 約25万円 | 約8,333円 | 約69% | 約5,776円 | 約17.3万円 |
| 約30万円 | 約10,000円 | 約63% | 約6,307円 | 約18.9万円 |
| 約35万円 | 約11,667円 | 約57% | 約6,630円 | 約19.9万円 |
| 約40万円 | 約13,333円 | 約51% | 約6,745円 | 約20.2万円 |
上表は月収が一定だった場合の試算で、29歳以下・30〜44歳・45〜59歳の計算式(給付率50〜80%)にもとづく目安です。60〜64歳は給付率45〜80%の別の式が適用されるため使えません。正式な金額はハローワークが離職票の賃金額をもとに個別に計算します。
年齢別の上限額・下限額(令和8年8月1日改定)
基本手当日額には年齢区分ごとの上限額と、全年齢共通の下限額があります。上限額・下限額は賃金水準の変動にあわせて毎年8月1日に改定されます。
| 離職時の年齢 | 上限額(令和7年8月〜) | 上限額(令和8年8月1日〜) |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 7,255円 | 7,450円 |
| 30〜44歳 | 8,055円 | 8,270円 |
| 45〜59歳 | 8,870円 | 9,110円 |
| 60〜64歳 | 7,623円 | 7,830円 |
下限額(全年齢共通)は令和7年8月〜2,411円から、令和8年8月1日〜2,562円に改定されます。
基本手当日額の上限額・下限額は毎年8月1日に改定されるため、この記事をご覧になっている時点の最新額は、必ずハローワークまたは厚生労働省の公式ページでご確認ください。
所定給付日数の早見表|一般・特定受給資格者・就職困難者
基本手当を受け取れる日数(所定給付日数)は、離職理由と雇用保険の被保険者であった期間によって決まります。ハローワークインターネットサービスの表をもとに整理すると、次のとおりです。
① 一般受給資格者(②③以外の離職者)
| 被保険者期間 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
② 特定受給資格者・特定理由離職者(倒産・解雇等)
| 年齢区分 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
③ 就職困難者
| 年齢区分 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
所定給付日数は「雇用保険の被保険者であった期間」で決まる日数であり、そもそも受給できるかどうかを決める受給資格要件(一般は原則12か月、特定受給資格者・特定理由離職者は6か月)とは別の基準です。この2つを混同しないよう注意してください。自己都合退職の場合の給付開始タイミングについては別記事で解説しています。
就職困難者に該当するかどうかはハローワークの個別判断となり、対象となる条件は限定されています。詳しい対象条件は別記事で解説しています。
受給期間は原則1年|もらい忘れに注意
所定給付日数が残っていても、受給できる期間には期限があります。ハローワークインターネットサービスによると、受給期間は原則、離職した日の翌日から1年間です。この1年間を過ぎると、所定給付日数を使い切っていなくても基本手当は支給されません。
- 所定給付日数330日の対象者:受給期間は1年+30日
- 所定給付日数360日の対象者:受給期間は1年+60日
疾病・負傷(不妊治療を含む)、妊娠・出産・育児、親族の介護等により引き続き30日以上働けない場合は、申請によって受給期間を延長できます。延長できる期間は原則の受給期間とあわせて最大3年(合計4年)までです。申請には受給期間延長申請書、離職票、延長理由を証明する書類等が必要になります。
退職後にもらえるお金は失業手当だけではありません。あわせて受け取れる可能性のある給付金は別記事で一覧にしています。
失業手当の受給準備、今日からできる3つの確認
離職前6か月の賃金を給与明細やねんきん定期便で確認し、年齢区分と被保険者期間を照らし合わせるだけで、受け取れる金額と日数の目安はかなり具体的になります。
- 基本手当日額=賃金日額(離職前6か月の賃金合計÷180)×給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)
- 上限額・下限額は毎年8月1日に改定。最新額は必ずハローワークまたは厚労省公式ページで確認する
- 所定給付日数は一般・特定受給資格者・特定理由離職者・就職困難者で異なり、受給資格要件(12か月/6か月)とは別の基準
- 受給期間は原則、離職日の翌日から1年間。期間を過ぎると日数が残っていても支給されない
- 次の一歩:離職前6か月の給与明細を手元に用意し、ハローワークで正式な受給資格の確認を受ける
よくある質問
Q. 基本手当日額はどこで正式に計算してもらえますか?
離職後にハローワークで求職申込みと受給資格決定の手続きをおこなう際、離職票に記載された賃金額をもとに正式な賃金日額・基本手当日額が計算されます。この記事の試算はあくまで目安であり、正確な金額はハローワークでの手続き時に確認してください。
Q. 賞与(ボーナス)は賃金日額の計算に含まれますか?
賃金日額の算定に使う賃金の範囲は個別の給与体系によって扱いが分かれる場合があるため、この記事では断定を避けます。詳しい扱いはハローワークに確認してください。
Q. 60〜64歳は59歳以下より受け取れる金額が少なくなりますか?
60〜64歳は給付率が45〜80%、59歳以下は50〜80%と、給付率の下限が異なります。また基本手当日額の上限額も年齢区分ごとに定められており、60〜64歳の上限額は45〜59歳の上限額より低く設定されています。
Q. 所定給付日数を使い切る前に受給期間の1年が過ぎたらどうなりますか?
所定給付日数が残っていても、原則の受給期間(離職日の翌日から1年間、所定給付日数330日は1年+30日、360日は1年+60日)を過ぎると基本手当は支給されません。病気やケガ、妊娠・出産・育児、介護等で30日以上働けない事情がある場合は、受給期間の延長を申請できます。
Q. 特定受給資格者・特定理由離職者に該当するかはどう判断されますか?
倒産・解雇・一定のハラスメントなど、会社都合や正当な理由による離職の場合に該当する可能性があります。該当するかどうかは個別の離職理由をもとにハローワークが判断するため、迷う場合は離職票を持ってハローワークに相談してください。自己都合退職の場合の給付開始タイミングは別記事で解説しています。
Q. 就職困難者の所定給付日数はなぜ長いのですか?
就職困難者は、心身の状況等により就職が困難と認められる方を対象に、一般の受給資格者より長い所定給付日数(45歳未満は最大300日、45歳以上65歳未満は最大360日)が設定されています。対象となる条件はハローワークの個別判断によるため、詳しい対象条件は別記事で確認してください。
退職後にもらえるお金一覧|失業手当だけじゃない 自己都合退職の失業手当はいつから?給付制限を解説 就職困難者の失業手当は最大360日|対象条件を解説出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」、ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」、厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」
