「障害や持病があり、退職後に再就職までどれくらいかかるかわからない」「失業手当をもらえる期間が短いと生活が不安」——そんな心配を抱えている方もいるのではないでしょうか。雇用保険には「就職困難者」という区分があり、対象と扱われると失業手当(基本手当)の所定給付日数が一般の離職者より長くなります。この記事では、就職困難者の対象範囲、所定給付日数が最大360日になる仕組み、混同しやすい受給資格要件との違いを、ハローワークインターネットサービスの公式情報にもとづいて解説します。
就職困難者とは|対象になる人と対象疾患
就職困難者とは、雇用保険で失業手当の所定給付日数を計算する際に使われる区分の一つです。身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方などが対象になり得ますが、実際に就職困難者として扱われるかは離職時にハローワークが個別に確認します。手帳を持っていれば必ず認定されるわけではなく、窓口での確認が前提です。
対象となる精神疾患は3つに限定
精神疾患を理由に就職困難者の対象となりうる範囲は、統合失調症・そううつ病(うつ病・双極性障害を含む)・てんかんに限られます。この3つ以外の診断名は対象に含まれません。
適応障害・不安障害・発達障害は、就職困難者の対象となる精神疾患には含まれません。範囲を「等」で広げて解釈することはできず、該当するか迷う場合は離職前にハローワークの窓口で確認してください。体調に不安がある場合は、まず医師に相談してください。
就職困難者の所定給付日数は最大360日|一般との比較
ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」によると、就職困難者の所定給付日数は次のとおりです。
| 年齢区分 | 被保険者期間1年未満 | 被保険者期間1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
一方、一般の受給資格者(就職困難者にも特定受給資格者にも該当しない離職者)の所定給付日数は、年齢を問わず被保険者期間の長さだけで決まります。
| 被保険者期間 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
一般は被保険者期間が12か月未満だと受給資格自体がありませんが、就職困難者は1年未満でも150日が設定されています。一般の最長150日に対し、就職困難者は45歳以上65歳未満・1年以上で360日と、日数差は大きくなります。
この日数が適用されるのは、就職困難者としてハローワークに確認された場合です。障害者手帳等を持っていることと就職困難者として扱われることは同じではなく、必ず360日もらえると決まっているわけではありません。
受給資格要件・給付制限とは別の軸|混同に注意
就職困難者の区分は「所定給付日数が何日になるか」を決める軸であり、「そもそも失業手当を受け取れるか」を決める受給資格要件とは別の話です。
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」によると、一般の受給資格要件は離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることです。特定受給資格者・特定理由離職者に該当する場合は、離職の日以前1年間に通算6か月以上あれば足ります。就職困難者かどうかとは別の基準で判定されます。
自己都合退職の場合に一定期間支給が止まる「給付制限」も、就職困難者とは無関係に離職理由で決まる制度です。2025年4月以降の離職では、正当な理由のない自己都合退職の給付制限期間は原則1か月です。就職困難者に該当しても受給資格要件を満たしていなければ受け取れず、「所定給付日数」「受給資格」「給付制限」は別々の基準だと整理しておきましょう。
受給期間は原則1年|360日を受け切るための注意点
失業手当の受給期間は、離職した日の翌日から原則1年間です。所定給付日数が360日の対象者は、受給期間が1年+60日まで自動的に延びます。それでも上限があるため、日数が残っていても受給期間を過ぎると支給されなくなります。
360日分の所定給付日数があっても、期限内に消化しきれなければ残り日数は受け取れません。離職後はできるだけ早くハローワークで求職申込みと受給資格決定の手続きを行いましょう。
すぐに求職活動ができない場合は、受給期間延長制度で最大3年(合計4年)まで延ばせます。療養が長引きそうなときはあわせてハローワークに相談してください。
よくある質問
Q. 就職困難者に該当するかどうかは自分で判断できますか?
自分で判断するものではありません。離職票などをもとに、ハローワークが離職時に個別確認します。所定給付日数を知りたい場合は窓口で相談してください。
Q. うつ病や双極性障害と診断されていれば必ず就職困難者になりますか?
必ず認定されるわけではありません。対象となりうる精神疾患は統合失調症・そううつ病(うつ病・双極性障害を含む)・てんかんに限られ、該当するかはハローワークの個別判断です。
Q. 適応障害や発達障害の診断を受けている場合は対象になりますか?
就職困難者の対象となる精神疾患には含まれません。適応障害・不安障害・発達障害は現時点で対象外として扱われます。
Q. 就職困難者に該当すれば、失業手当をすぐに受け取れますか?
就職困難者は所定給付日数を決める区分です。実際に受け取れるかは受給資格要件(離職前2年間に被保険者期間通算12か月以上など)を満たしているかで別途決まります。
Q. 所定給付日数360日を使い切るまでに期限はありますか?
あります。受給期間は原則、離職した日の翌日から1年間で、360日の対象者は1年+60日まで延びます。期限を過ぎると残り日数があっても支給されないため、早めの手続きが必要です。
受給期間内に手続きを終えるためにやること
- 就職困難者は所定給付日数を決める区分。対象になるかはハローワークが離職時に個別確認する
- 対象となる精神疾患は統合失調症・そううつ病(うつ病・双極性障害を含む)・てんかんの3つに限られ、適応障害・発達障害は対象外
- 所定給付日数(就職困難者かどうか)と受給資格要件・給付制限(離職理由で決まる基準)は別の軸
- 受給期間は原則1年(360日の対象者は1年+60日)。期限内に消化できないと残り日数は失効する
- 次の一歩:離職票を持ってハローワークの窓口へ行き、就職困難者に該当するか・所定給付日数が何日かを確認する
外部の一次情報は以下をご確認ください。
